ギリシア語の動詞組織は、古代ギリシア語のアスペクトを基準にして時制を展開し、最後に人称語尾・性・数語尾を加える組織体系を連綿と維持しています。現代ギリシア語において紆言形の形態が発展したとはいえ、もうそれはプラトンのクラティロスにも助動詞的EXOと分子的な語幹と人称語尾形の形態がすでに用いられているように、それは古典時代からの継承です。古典ギリシア語動詞体系は、そのまま現用言語に継承され続けています。拙著「現代ギリシア語の基礎」で記述の通り、古典時代の骨幹がそのまま語形となって、承継されているのです。このように「現代ギリシア語」は、「古典ギリシア語」とほぼ同じ動詞体系を引き継ぎ、表層形において「明確化」し「紆言形」によりその痕跡を現示しているのです。サンスクリットの「アオリスト形」も存続しています。つまり「現代ギリシア語」は、もっとも古い印欧基語の動詞組織をも継承しているのです。現代ギリシア語は、中世のギリシア語を経て、古代から連綿と印欧基語の動詞体系を維持し継承しているのです。「継時アスペクト」「瞬時アスペクト」「完了アスペクト」の対立は、すでに古代ギリシア語において明らかです。現代ギリシア語はそれを顕在化させているのです。