2017年 01月 16日 12:52 JST : REUTERS トップニュース
トランプ氏の国境税、中国からの「資金逃避」を加速
1月12日、ドナルド・トランプ次期米大統領と共和党が導入を検討している「国境税」は、中国からの資本逃避を招き、大きな波紋を与える可能性がある。写真は2013年4月、上海で撮影された人民元硬貨(2017年 ロイター/Carlos Barria)
James Saft
[12日 ロイター] - ドナルド・トランプ次期米大統領と共和党が導入を検討している「国境税」は、中国からの資本逃避を招き、大きな波紋を与える可能性がある。
下院共和党が支持している国境税調整プランでは、輸入に対して20%を課税、逆に輸出に対しては補助金を給付するという内容になっている。
共和党とトランプ氏は、国内生産を優遇する手段の1つとして、すべての輸入品に対する国境税の適用を求めているものの、一方でトランプ氏は、生産拠点を海外に移す企業の輸入に対して直接重税を課すという脅しの意味でもこの言葉を使用している。例によって、トランプ氏の意図や目論見はきわめて不透明だ。
トランプ氏は過去にも、中国からの輸入品に45%の関税を課すという考えを示したことがあった。国境税について議論されているよりもさらに高い税率である。
これは、中国だけでなく、金融市場にも問題を引き起こすだろう。米国が輸入する中国製をはじめとする外国製品の競争力を低下させるというだけの理由ではない。
国境税は、すなわち「ドル高」を意味する。ローレンス・サマーズ元米財務長官は今月、ドルの「急上昇」に対して警鐘を鳴らした。
もし他のすべての条件が変わらなければ(そういう状況はめったにないが)、20%の国境税を導入すれば、ドル相場も同じような割合で上昇するだろう。他の国もこぞって、独自の国境税その他の手段を講じるだろうから、実際にはそうなる可能性は低いだろうが、それでも、ドル高が大幅に進むのは確かだ。