2016年 11月 2日 15:16 JST | REUTERS | トップニュース
政府は北方領土問題にらみ日ロ経済協力進展期待、民間側に懸念も
11月2日、日本は民間企業にロシアへの投資を促し、12月の日ロ首脳会談で北方領土問題の解決に向け前進を図りたい考えだ。写真は今年9月、ロシアのウラジオストクで会談した安倍首相(左)とロシアのプーチン大統領。提供写真(2016年 ロイター/Sputnik/Kremlin/Alexei Druzhinin)
[東京 2日 ロイター] - ロシアとの経済協力の具体化を進めるため、世耕弘成経産相が2日からモスクワを訪問する。日本は民間企業にロシアへの投資を促し、12月の日ロ首脳会談で北方領土問題の解決に向け前進を図りたい考えだ。
安倍晋三首相は自身の故郷山口県で来月15日にプーチン大統領と会談する。ある政府筋は「基本的に、経済協力は民間主導で進めること。政府は関心のある企業を募っている」と話す。
ただ、民間企業はロシアの投資環境や、リスクとリターンの想定が厳しいことに懸念を感じており、慎重な姿勢がみられる。
「たとえ政府に言われたとしても、利益が期待できなければ民間企業は投資に乗り出さないだろう。安倍首相より、株主のほうが重要だ」(元経産省関係者)との見方もある。
安倍首相にロシアとの経済協力担当相に任命された世耕経産相は3日、日本が5月に提案した8項目の経済協力プランの具体化について、ノバク・エネルギー相、ウリュカエフ経済発展相らロシアの閣僚と協議する。日本の自動車メーカー、商社などの民間企業も同行して5日まで断続的に協議を重ねる予定。
ロシアは、港湾開発やエネルギー、農業・漁業分野などで数十項目の経済協力プロジェクトのリストを提示。極東にソユーズの打ち上げ基地を建設するという構想も含まれているという。
ロシアの極東発展省は先週、日本の投資を呼び込むことは最優先課題だとし、オシポフ次官は12月までに「具体的な結果を出したい」と述べた。
具体的な進展がありそうなプロジェクトの1つが、ロシアで唯一の液化天然ガス開発事業サハリン2。パートナーを組むロシアのガスプロム(GAZP.MM)、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)、日本の三井物産(8031.T)、三菱商事(8058.T)はすでに拡張計画の基本設計に入ることで合意している。