(1)富士フイルム、映画フィルムの生産終了
2012.9.12 19:50
富士フイルムは12日、映画用フィルムの生産を終了することを明らかにした。国内で唯一生産していたが、来年春ごろをめどに終える。映画業界ではデジタル化が急速に進んでおり、採算が取れなくなったという。
映画業界では、映像の編集や加工、配給のしやすさなどからデジタルカメラでの撮影が広がり、フィルム需要が急減している。
(2)富士フイルム、映画フィルムを生産中止へ…デジタル化の波に逆らえず
2012年9月12日 20時54分
[シネマトゥデイ映画ニュース] 1934年の創業以来、映画フィルムを取り扱っていた富士フイルム株式会社が、上映用をはじめとする映画フィルムの生産を中止することが明らかになった。ただし、アーカイブフィルムの生産は継続するなど、今後はデジタル化の波に合わせる形で映画事業を続けていくという。
映画フィルムは、撮影用や編集用、上映用など用途ごとに使い分けされており、同社での生産中止が決定したのは、上映用ポジフィルム、撮影用カラーネガフィルムなど、アーカイブフィルムを除いた映画フィルム。同社担当者によると、デジタル化の推進が最大の理由になっているといい、近年の3D映画の隆盛で映画界のデジタル化が加速したことも要因になっているとのこと。具体的な生産中止時期については現在調整中だという。
1934年の創業時から映画フィルムの国産化を理念として掲げ、業界内で35パーセントのシェアを占めていたという同社の事業縮小は、今後さまざまなところに影響を与えることが予想される。これまで同社は世界中に二つしかない映画用フィルム全種類を生産するメーカーだったが、今回の決定に伴い、今後、全種類を供給できる会社は米イーストマン・コダック・カンパニーのみとなる。(数字は富士フイルム提供のもの)
今後の同社は、保存用のアーカイブフィルムやカメラ用レンズ、色調整システムなどで映画事業を継続していく見込み。とりわけ、同社が開発したアーカイブフィルム「ETERNA−RDS」は、映画業界に貢献した技術や技術者に贈られるアカデミー賞のアカデミー科学技術賞を受賞。現在では20世紀フォックスとソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの全作品に採用されるなど、映画フィルムを語る上では欠かせないアイテムの一つとなっている。
デジタル化が推進されているとはいうものの、フィルム上映を好んでいる映画ファンは多く、最近では往年の名作をオリジナルニュープリントで上映する「午前十時の映画祭」が人気を集めていることも記憶に新しい。また、フィルム撮影にこだわる制作者もおり、映画『ダークナイト』で知られるクリストファー・ノーラン監督は一貫してデジタル化に批判的な姿勢を見せている。
「(昨年)フジカラー映画用ネガティブフィルム「ETERNA 400」販売終了のお知らせ:2011年7月15日:富士フイルム株式会社は、フジカラー映画用ネガティブフィルム「ETERNA 400」(35mm タイプ8583/16mm タイプ8683)につきまして、現有在庫が無くなり次第、販売を終了いたしますことをご案内申し上げます。「ETERNA 400」は、平成17年3月発売以来、多くの映像クリエーターの皆さまにご愛用いただいておりますが、需要減少のため、生産体制を維持する事が難しい状況に至った次第でございます。これまでのご愛顧に深く感謝いたしますとともに、事情ご賢察の上、何とぞよろしくご理解賜りますよう、お願い申し上げます。今後とも富士フイルム映画用フィルム製品に変らぬご支援、ご愛顧を併せてお願い申し上げます。」であった。
記
販売終了製品(2012/09/12)
フジカラー映画用ネガティブフィルム「ETERNA 400」タイプ8583および、タイプ8683の全サイズほか全製品:但し「ETERNA−RDS」のみ存続。
富士フイルムの映画フィルムでこれからも生産される「ETERNA−RDS」は例外。
本件に関するお問い合わせは下記までお願いいたします。
富士フイルム株式会社 イメージング事業部映画グループ
TEL 03-6271-2124
(3)当社の映画事業の取り組みについて
2012年9月13日
富士フイルム株式会社
富士フイルムは、これまで映画事業として、主に撮影用フィルムや上映用フィルムを提供してきましたが、近年、急速に進展する映画撮影・制作・上映・保存工程のデジタル化に対応し、事業内容を転換しデジタル化に合わせた製品・サービスを提供していきます。
デジタルシネマカメラによる撮影が本格化し、映像制作においてはCG合成、VFX加工などを多用するデジタル編集が広く普及してきており、また上映側でも3D作品増加に伴いデジタル上映設備をもつ映画館が拡大してきたことなど、映画業界のデジタル化は急速に進んでいます。これらに対し、富士フイルムはこれまで撮影用フィルムや上映用フィルムの生産工程のコストダウンなどに取り組み、供給を継続してまいりました。しかしながら、ここ2、3年の急激な需要の減少は、企業努力の範囲を超えるものとなり、撮影用/上映用フィルムについては平成25年3月を目途に販売を終了いたします。
一方、富士フイルムは、長期保存に適したアーカイブ用映画フィルムや撮影用の高性能レンズなど、今まで以上に映画事業のデジタル化に合わせた製品・サービスを提供し、映画産業の発展に貢献していきます。
また、写真フィルムにつきましては、今後も生産・販売を継続してまいります。
[今後注力する製品・サービス]
1.デジタル撮影用、上映用レンズのラインアップ
長年映像放送業界から品質で高い評価をいただいているフジノンレンズのラインアップを強化。
数々の映画制作で好評なPLマウント用「HKシリーズ」、小型軽量ながら高い光学性能を可能としたシネレンズの新製品「FUJINON ZK4.7×19」など
デジタル映画上映用の4K対応デジタル・シネマ・プロジェクタ-用フジノンレンズやスーパーハイビジョン用レンズ
2.色管理システム(Image Processing System IS-100)
当社が写真・印刷分野で培った色再現技術とカラーマネジメント技術を応用し、高精細な色調整を映画/テレビ/CMのデジタル映像撮影現場で行うことを可能にした色管理システム
3.デジタル映像の保存システム
当社独自のBaFe(バリウムフェライト)磁性体を用いた、磁気記録方式での長期保存を可能とする超高容量データストレージ用データメディア
銀塩技術で500年の長期保存が可能なアーカイブ用映画フィルム(ETERNA-RDS)
大切なデータを一括で管理するデジタル・データ・アーカイブ・サービス(欧米を中心とした海外で展開を進め、日本でも展開に向けて準備中)
[販売終了製品]
映画上映用カラーポジティブフィルム「ETERNA-CP」シリーズ
映画撮影用カラーネガティブフィルム「ETERNA」シリーズおよびF64D
デュープ用フィルム「ETERNA-CI」シリーズ
デジタルインターメディエイト専用レコーディングフィルム「ETERNA-RDI」
サウンドレコーディングフィルム「ETERNA-RSN」
字幕/エンドロール用ハイコントラストパンクロマチックフィルム
映画上映用白黒ポジティブフィルム
映画撮影用白黒ネガティブフィルム
国内向薬品その他
本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
お客さま イメージング事業部 映画グループ
03-6271-2124
報道関係 広報部
03-6271-2000