ギリシャ支援承認 EUユーロ圏会合
2012.03.13 朝日東京夕刊 2頁
欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国は12日の財務相会合で、ギリシャへの追加支援を正式承認した。国際通貨基金(IMF)も15日の理事会で承認する見通しで、2014年までの総額1300億ユーロ(約14兆円)の追加支援が確定。ギリシャが資金繰りに行き詰まる恐れは当面なくなった。
ギリシャは9日、ギリシャ国債を持つ民間投資家の元本(額面)を強制的に減らすことで、借金を減らすことを決めた。
12日の会合後の記者会見でユンケル議長(ルクセンブルク首相)は、こうした債務削減と追加支援で、ギリシャの国内総生産に占める借金の割合が2020年に117%となり、当初目標の120%を下回るとの見通しを明らかにした。
一方、他国への危機の波及を防ぐため、現在5千億ユーロ(約54兆円)を上限とするユーロ圏の安全網の拡大は、結論を持ち越した。EUの欧州委員会が拡充策の具体案をつくり、月末の財務相会合で最終決定する。
ギリシャ:ユーロ圏、2次支援決定 合意後8カ月、ようやく実施へ
2012.03.13 毎日東京夕刊 1頁 政治面
【ロンドン発】ユーロ圏諸国(17カ国)は12日、ブリュッセルで財務相会合を開き、ギリシャ債務削減の手続き完了を受け総額1300億ユーロ(約14兆円)の第2次支援の払い込みを正式決定した。
昨年7月の第2次支援基本合意から8カ月を経てようやく実施にこぎつけた。これによりギリシャは国家財政破綻の危機は当面避けられ、引き続き欧州連合(EU)などの監視下で財政再建を進める。
ギリシャ政府は12日、銀行などが保有する同国国債の大半を、新たに発行する元本が半分以下で低利の長期国債に交換する手続きが完了したと発表。民間の約8割が自発的に協力し、ギリシャの財政負担は軽くなる。
財務相会合のユンケル議長は「ギリシャはユーロ圏にとどまる」と表明。大幅な債務削減でギリシャの債務は現在の国内総生産(GDP)比160%から20年には120%未満に圧縮されるとの見通しを示した。第2次支援では国際通貨基金(IMF)が今後4年間で280億ユーロを支援することを15日の理事会で承認する運び。
ただ、ギリシャは構造改革の遅れが指摘されている。またギリシャ情勢が再び緊迫した際などに備えたEUの「安全網」である欧州安定メカニズム(ESM、7月発足予定)の融資枠拡大の議論は、今月30日にコペンハーゲンで開く財務相会合に先送りされ、課題は残っている。