「イスラム国」:日本との亀裂、狙う 有志国の攻撃歯止めも 「イスラム国」に精通、ヨルダン人識者に聞く
毎日新聞 2015年01月29日 東京夕刊
マルワン・ジハーデさん
フリージャーナリストの後藤健二さん(47)やヨルダン軍パイロットの拘束を続けるイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)はどのような集団なのか。ヨルダンの著名な評論家、マルワン・ジハーデさん(52)に聞いた。【アンマン坂口裕彦】
−−事態は緊迫している。
◆ISの行動には遊びがない。問答無用で従え、と言わんばかりだ。米国が主導する有志国連合の攻撃に歯止めをかけ、日本とヨルダンの友好的な互恵関係に亀裂を走らせる。IS側の狙いはこの2点だろう。
−−ISは当初、身代金を要求したが、金が目的だったのか
◆それは違う。根っこにあるのは、ISが国家として独立を目指す信念と思想だ。国際社会に足並みをそろえて、ISをテロリスト扱いする日本は、身代金の支払いに応じない。それを知りながら、日本に圧力をかけ、メッセージを送るつもりだった。
−−日本が知っておかなければいけないことは。
◆ISの日本へのメッセージは「有志国連合を支援するのはやめろ。この地域に関わるのはお前の仕事ではない」だ。たとえ武器を持たない間接的な人道支援でも、有志国連合に関わり、中東に来ているリスクを理解することが大切だ。
−−ISとの交渉やパイプは。
◆個人や宗教家、別の国家といった第三者に仲裁してもらう必要がある。かつては2国間戦争の解決法として活用されていた。今回の人質事件では、イラクとシリアの有力部族やISと間接的に関係を持つトルコが(仲介国の)対象となるだろう。