衆院選:安倍首相「改憲訴えたい」 安保法制は整備推進
毎日新聞 2014年12月15日 02時28分(最終更新 12月15日 13時08分)
衆院選での自民党勝利が確定し「1強多弱」の構図が続くことになった。今回の選挙で自民党は安倍政権の経済政策「アベノミクス」を最大の争点として掲げたが、自民党の勝利は、経済政策だけでなく集団的自衛権の行使容認のための安全保障法制整備や憲法改正に大きな影響を与えそうだ。安倍晋三首相は選挙結果を受け、安保法制整備について信任を得たとの認識を示し、憲法改正についても「必要性を訴えたい」と踏み込んだ。ただ選挙戦では正面から提起しておらず、反発も予想される。【古本陽荘】
「国民の命と幸せな暮らしを守るための切れ目のない安全保障法制を次の国会でしっかり成立させていきたい」。安倍首相は14日夜のNHKの番組でこう述べ、7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を含む安保法制の整備に意欲を示した。テレビ東京の番組では安保法制について「政権公約で示し理解を頂いたと思っている。7月に(憲法)解釈変更をしており、それを加味した選挙だった」と明言し、衆院選で信任を得られたとの認識を示した。
首相は選挙戦中、安保法制整備について、具体的にどの関連法案を次の国会に提出するか説明しなかった。各種世論調査で反対論が根強く、具体論に踏み込むのは得策ではないという判断があったとみられる。
政府・与党は今後、予定通り来年の通常国会の後半で関連法案の成立を目指す。当初年末を想定していた日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定を来春にも実現し、自衛隊による米艦防護の範囲を広げることなどを柱とする集団的自衛権の行使容認の早期実現を目指す可能性が高い。
さらに憲法改正を巡っては、与党で衆院の3分の2を超えたことで、議論が本格化するのは確実だ。昨年7月に半数が改選された参院選では、改選議席121に対し自公は76議席。改憲に前向きな他政党(当時のみんなの党、日本維新の会)を加えると92議席で、憲法改正の発議に必要な3分の2超の81議席を、余裕を持って超えていた。
仮に2016年7月の参院選で、残りの改選議席についても自公で3分の2を獲得することになれば、与党主導で憲法改正の発議が可能となる。自民党にとって憲法改正は党発足以来の党是だ。安倍首相は第1次政権で国民投票法を成立させており、歴代首相の中で最も改憲に強い意欲を持つ。