2014衆院選:混戦/1 沖縄4区 辺野古、続く保革共闘 知事選酷似 自民、今も逆風
毎日新聞 2014年12月04日 東京朝刊
衆院選が始まった沖縄の空を飛ぶ米軍機。戦後69年がたった今も在日米軍専用施設の74%が沖縄に集中している:
衆院選は14日の投開票に向け、各党が短期決戦に臨んでいる。自民党の「1強多弱」体制を野党はどこまで突き崩せるか−−。混戦が展開される注目選挙区を歩いた。
「地元が辺野古移設反対の意思を示しても政府は粛々と進めると言う。保守も革新もウチナーンチュ(沖縄の人)が一丸とならないといけない」
公示日の2日朝、沖縄4区の無所属新人、仲里利信氏(77)は沖縄県南風原(はえばる)町での出発式で気勢を上げた。その横に、11月16日の知事選で米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設反対を訴え、かつて選対本部長として支えた仲井真弘多(なかいまひろかず)知事を破って初当選した翁長雄志(おながたけし)氏(64)が並び立ち、共闘をアピールした。
前回衆院選では県外移設を公約に掲げ、比例復活の1人を含む4人全員の当選を果たした自民党県連。だが、党本部から強く迫られ、昨年末に辺野古容認に転じた。知事選では移設推進の仲井真氏を推薦し、翁長氏に約10万票の大差で敗北。事実上の公約撤回への厳しい県民感情は、今も逆風になっている。
知事選の5日後に、安倍晋三首相は衆院解散に踏み切った。翁長氏を支えた共産や社民などと自民党を除名された那覇市議らの保革共闘グループは「知事選の勢いをそのまま持ち込みたい」(県議)と衆院選に臨む。共産、社民、生活の前職がそれぞれいる1〜3区は前職支援を確認し、4区に元自民党県連顧問の仲里氏の擁立を決め、全4選挙区で自民前職と対決する構図をつくった。
中でも4区は、辺野古移設を巡ってたもとを分かったかつての盟友同士の対決として、知事選と酷似している。県議会議長を務めた仲里氏は、前回衆院選で「県外」を訴えた自民前職の西銘恒三郎氏(60)を後援会長として支えた。昨年、辺野古移設容認に転換した西銘氏を批判して後援会長を辞し、自民から除名された末、自ら対抗馬となった。
知事選で翁長陣営を取りまとめた安慶田(あげだ)光男・那覇市議会議長は「相手は自民党国会議員5人の中で真っ先に県外移設の公約を破った人物。辺野古に新基地を造らせないためにも4区は負けられない」と強調。1区が地盤の那覇市議が4区に入って選挙戦を支える。翁長氏も出発式だけでなく、選挙区内の離島も仲里氏と一緒に歩く予定だ。
「知事選の影響がまだ強く、大変な逆風だ」。西銘氏は元後援会長の出馬に危機感を隠さない。
2日の街頭演説では移設の是非に直接言及せず、「2年前の民主党政権を選ぶのか、自公連立政権を選ぶのかが問われている選挙だ」と政権選択選挙であることを強調。公示前日の1日に推薦を受けた公明との連立政権の継続もアピールし、「選挙区は西銘、比例は公明」と繰り返した。
自民党県連幹部は「衆院選の主要な争点は経済問題だ。基地問題が争点となった知事選と同じような投票行動は起きないのでは」と期待を込める。
しかし、党本部には「沖縄全敗」の危機感が強く、4小選挙区全てを重点区に指定。谷垣禎一幹事長も8日に沖縄入りする。選挙区に多くの離島を抱え、もともとは基地問題とは遠いはずの4区の情勢に神経をとがらせている。【山本太一、佐藤敬一】
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◇沖縄4区=石垣、糸満市など
仲里利信 77 無新
西銘恒三郎 60 (3)自前=[公]