ギリシャ:緊縮策承認へ 与党2党首、造反者に厳罰対応
2012.02.12 毎日東京朝刊 2頁 二面
ギリシャ連立与党の第1、第2両党首は11日、12日に予定されている国会での追加緊縮策の承認で、所属国会議員に対して、賛成票を投じるよう厳しく求めた。ギリシャのメディアが報じた。特に第2党の新民主主義党のサマラス党首は、「造反者は(次の選挙での)候補者リストに入れない」と述べ、従わない議員は党から除名する姿勢を示した。両党で国会の全議席数の3分の2以上。緊縮策に距離を置いていたサマラス党首が厳格な姿勢に転じたことで、緊縮策の承認はほぼ確実な情勢となった。
追加緊縮策の実施は、欧州連合(EU)などによる1300億ユーロ(約13兆4000億円)の第2次支援策の前提。サマラス氏は「危機が続くのは、パパンドレウ前政権と国際機関の不手際のせい」と緊縮策に距離を置いていた。一方、第1党の全ギリシャ社会主義運動のパパンドレウ党首は11日、改めて賛成するよう呼びかけた。
同国政府は10日夜、緊縮策を閣議決定し、議会に送付。パパデモス首相は週明けにも内閣改造を実施する検討に入った模様だ。第3党で右派の国民正統派運動が国民に不人気な緊縮策に反対する姿勢を示したほか、大臣や副大臣6人が辞任したため。
[ギリシャ:緊縮策承認へ 第2党の党首も賛成訴え
2012.02.12 毎日大阪朝刊 2頁 二面]
ギリシャ連立与党の第1、第2両党首は11日、12日に予定されている国会での追加緊縮策の承認で、所属国会議員に対して、賛成票を投じるよう厳しく求めた。ギリシャのメディアが報じた。特に第2党の新民主主義党のサマラス党首は、「造反者は(次の選挙での)候補者リストに入れない」と述べ、従わない議員は党から除名する姿勢を示した。両党で国会の全議席数の3分の2以上。緊縮策に距離を置いていたサマラス党首が厳格な姿勢に転じ、承認はほぼ確実な情勢となった。
追加緊縮策の実施は、欧州連合(EU)などによる1300億ユーロ(約13兆4000億円)の第2次支援策の前提。サマラス氏は「危機が続くのは、パパンドレウ前政権と国際機関の不手際のせい」と緊縮策に距離を置いていた。一方、第1党の全ギリシャ社会主義運動のパパンドレウ党首は11日、改めて賛成するよう呼びかけた。
同国政府は10日夜、緊縮策を閣議決定し、議会に送付。パパデモス首相は週明けにも内閣改造の検討に入った模様だ。第3党で右派の国民正統派運動が国民に不人気な緊縮策に反対する姿勢を示したほか、大臣や副大臣6人が辞任したため。
緊縮策には、最低賃金を22%引き下げ、12年中に公務員を全体の2%に当たる1万5000人減らす内容が盛り込まれている。
(2)ギリシャ支援に二の足 欧州、財政再建策に不信感 歳出減案あいまい
2012.02.11 朝日東京朝刊 9頁
欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国は9日の財務相会合で、ギリシャへの追加支援を実行するかどうかの判断を15日に先送りした。ギリシャが財政再建策を実行に移すのか、信用できないからだ。新たに突きつけた条件を満たさなければ支援しない、という強い姿勢をみせている。
1300億ユーロ(約13兆4千億円)の追加支援を「お預け」にした理由は明快だった。「要するに、実行しなければ払わない」。ユーロ圏財務相会合が終わった9日深夜、記者会見したユンケル議長(ルクセンブルク首相)はこう述べた。
ギリシャ政府は、EUなどから求められた財政再建策の受け入れについて、財務相会合の直前までかけて連立与党の合意をとりつけた。民間金融機関との債務削減交渉もほぼ合意に至ったようだ。
それでも、ギリシャは信用されなかった。EU側は、これまで何度も計画が目標に達しない状況を見せられてきた。ギリシャを支える各国の不信は根強い。
ギリシャに新たに示した三つの条件のうち、最大のポイントは、3億2500万ユーロ(約335億円)の歳出を今年どう減らすかをはっきりさせることだ。削減分は当初、年金支給額を引き下げて捻出するつもりだった。だが、国民の反発を背景に与党各党が反対し、結局、年金減額なのかほかの歳出を削るのかを決めず、あいまいになっているとみられる。これでは「本当に削減できるのか」と不安がられても仕方がない。
具体的な削減策を数日内に決め、財政再建策の関連法案に盛り込む必要があるとみられる。法案を国会に諮るのは12日の予定で、時間がないからだ。
●使い道の監視も検討
再建策へのギリシャ国内の反発はなお強い。
地元メディアによると、警察官労組は10日までに、EUなどに緊縮策に反対する人々の声を盛り込んだ書簡を送った。この中で、元電気技師のマモシスさん(69)は「EUやIMFには国を出て行ってもらいたい。破産して、旧通貨のドラクマに戻った方が私たちにはよいことだ」。10日から48時間のゼネストが始まり、公共交通機関が運休するなど緊迫した状況が続く。
EU側は再建策への国会承認を得るだけでは安心できず、連立を組む各党の党首たちから「確実に実行する」との言質をとることを支援実行の条件に加えた。4月に予定される総選挙を控え、国民の受けを狙って各党が翻意するのではないかと心配しているからだ。
さらにEU側は、仮に支援を決めたとしても、ギリシャに渡すお金の使い方への監視を強めることも検討する。ドイツやフランスは、支援金の一部をギリシャ政府が自由に使えないように別勘定で管理し、借金返済だけに充てるようにすることを提案している。
欧州委員会のレーン副委員長(経済・通貨・ユーロ担当)は9日夜の会見で、「真剣に検討している」と述べた。15日のユーロ圏財務相会合で、さらに話し合う見込みだ。監視を強めることで、追加支援によってギリシャの財政再建が着実に進む、と金融市場から信頼してもらう狙いもある。
■ギリシャ支援の経緯と今後
<2010年5月2日> 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が1100億ユーロの1次支援決定
<11年7月21日> EUとIMFが1090億ユーロの追加支援(2次支援)決定。銀行などにも負担を求める
<10月27日> 追加支援の内容見直し。総額1300億ユーロに引き上げ、銀行などの負担割合も増やす
<12年2月9日> ギリシャ政府・与党が財政再建策で合意。ユーロ圏財務相会合は追加支援へ新たに3条件を提示
<15日> ユーロ圏財務相会合。追加支援の是非を協議
<20日> ユーロ圏財務相会合
<21日> EU財務相理事会
<25~26日> 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議
<3月1~2日> EU首脳会議(サミット)
<20日> ギリシャが国債145億ユーロ(約1兆5千億円)の返済期限