鉄道模型「メルクリン」 破産逆手に「独流」回帰 利益至上から社員重視に
2009.03.31 読売東京朝刊
(わが愛するメルクリン模型:FS460+Ausstellungswagen mit digitaler Musik-Elektronik (chez moi: photo by Masao Yagihashi)
精密な鉄道模型で日本にもファンが多いドイツの老舗模型メーカー「メルクリン」が2009年2月、メーンバンクから融資の返済延長を断られ、破産申請した。実権を握ってきた英米系の投資会社は手を引き、今はドイツ人の管財人の下で再建中だ。地元では「利益至上主義の英米流の経営から、社員重視のドイツ流に戻す好機」と意外にも破産を前向きに受け止めている。
独自動車大手のダイムラーとポルシェが本社を置くシュツットガルトから電車で30分。人口6万人の小都市ゲッピンゲンにメルクリンの本社がある。
「破産申請は各紙が1面で大扱いした。年商わずか1億2800万ユーロ(約164億円)の会社が注目されるのは、何世代にも夢を与えてきたからだ」--。ロラント・ガウケレ広報部長(57)は、厳しい表情ながらも誇らしげに語った。
全国からは「毎年150ユーロ(約1万9200円)ずつ寄付したい」「ボクのお小遣いを使って」などと「支援」の申し出が相次いでいるという。
HOゲージで有名なメルクリンの模型は、独国内では5世帯に1世帯が持ち、「世代をつなぐ趣味」として愛されてきた。だが、近年はテレビゲームの普及で若者が離れ、赤字に転落した。本社工場で25年間働く塗装工モニカ・ルーラントさん(56)は「孫はニンテンドーが好き。家に模型はないよ」と苦笑する。
2006年には、英投資会社キングズブリッジ、米投資会社ゴールドマンサックスの傘下に入り、両社は社員約1400人のうち約300人を解雇するなど合理化を進めた。一方で、売上高はインターネット販売などでやや持ち直し、展望が開けたかに見えた。
ところが、メーンバンクの地元2行から、1月末に返済期限を迎えた5000万ユーロ(約64億円)の融資延長を断られ、資金繰りが行き詰まった。地元紙記者は「金融危機でも、この程度の債権は負担にならない」と批判する。「でも、実権がドイツ人(の管財人)に移った結果を見れば、両行の判断は悪くなかった」と皮肉交じりに指摘した。
ドイツでは、労組代表を経営に参画させたり、人事などを社員代表の「事業所委員会」と協議したりと、社員と経営陣が対等に話し合う企業風土が浸透している。短期の利益を重視しがちな英米流の経営手法には、反発が強い。
暫定管財人のミヒャエル・プルタ弁護士(58)は「破産は、愛情に欠けた投資会社からの解放だ」と言い切り、事業所委員会のディーター・ワイスハール委員長(51)は「旧経営陣に長期計画の策定を求めたが、応えてもらえなかった」とドイツ流経営への回帰に期待を寄せる。すでに約110社から支援の申し出があり、売却先は8月までに決まる見通しという。
〈メルクリン〉
1935年に発売した実物の87分の1の鉄道模型「HOゲージ」シリーズは今も人気。ブリキ職人だったテオドール・メルクリン氏が1859年、ままごと用台所メーカーとして創業。
(今、東京では....)
東京地区で販売取扱をおこなっているのは、渋谷のメルクリンセンター「レオ」と、東京日本橋高島屋5階「鉄道模型売り場」のみ。Cf.
日本橋高島屋5F鉄道模型メルクリンコーナー閉店(2018/8/17) 古くから販売を続けてきた「天賞堂」は、2010年末から撤退。今は、Zゲージのみ細々と残存させている。
(1)日本橋高島屋5階鉄道模型売り場には、「鵜沢義治」氏が担当している。
日本橋高島屋5F鉄道模型メルクリンコーナー閉店(2018/8/17) (2)「メルクリンセンター・レオ」(東京渋谷)(2012年11月から〒150-0043 渋谷区道玄坂1-13-6-4階℡03-3461-3888:Fax03-3461-3889)は、老舗(1966年開業)但し小規模・在庫少。
(3)「モデルバーン」では「細々と」販売を続けている。
注: (4)「IMON」等は全く取り扱っていない。
(注;写真:現在主流のフライシュマン方式の国産模型(模型店C63[木場店]にて))
日本でメルクリンが普及しない最大の原因は、デジタル化に需要層がついていけなくなったこと。線路配線とデジタルのデコーダーの論理回路の処理に需要層がついていけなくなり、mfxの論理回路の操作とコントローラーの操作に専門性を要求され(セントラルステーションに供給する100V用のパワーパックが製造されていないため自作する必要がある)、主たる需要層の子供が操作する技能(論理回路)を身につけられず、線路をデジタル(mfx)化してレイアウトできなくなったこと。
本社が製造供給していないため、等価の回路を制作した「特注の」パワーパックは極めて高価で、HOのレイアウトが設定しずらくなったこと。国産模型の進展。
且つ、メルクリンの専門販売員と取引店(輸入総代理店)の皆無に近い現状。たとえば「日本橋高島屋の鵜沢義治さん」のような丁寧で親切な販売員の希少化と、前記の100V用のパワーパック(セントラルステーションが作動できない)の正規品の不供給です。
(日本では、鉄道模型の国際的な視野がせまく、ドイツ・欧州型の模型に親しみをおぼえる者が少なく、且つ模型は日本型の国産勢・フライッシュマン型勢におされ、欧州型か好きでメルクリンのドイツ語の説明書が読めて、且つメルクリンの論理回路を組める「大人」で、且つ、広いレイアウトが設定可能な住居空間を有する、極めてマイナー(特殊)な層のみとなってしまったのが実情です。)
(N.B. 100V用のパワーパック(セントラルステーションが作動できない)等の正規品の不供給については、ドイツの240V電圧の正規の商品を購入して、「ヤザワ 海外電気製品用変圧器 220V-240V 100W ...」(オンライン通販のAmazon公式サイトなら、ヤザワ 海外電気製品用変圧器 220V-240V 100W HTD100JP等を価格:6,880円で購入可能)等のトランスで、再可変してまかなえばこと足ります!)