ベルルスコーニ伊首相、12日にも辞任 元欧州委員を軸に後任調整
2011.11.10
イタリアのベルルスコーニ首相が辞任の条件としている財政緊縮策の国会承認が12日にも実現する見通しとなり、首相が早ければ同日にも辞任する可能性が出てきた。後継を調整するナポリターノ大統領は9日、欧州連合(EU)の閣僚にあたる欧州委員を務めたモンティ氏を終身上院議員に任命。同氏を首相に据える「実務者内閣」を軸に調整を図り、市場の混乱を落ち着かせたい考えだ。
AP通信などによると11月下旬の予定だった財政緊縮策承認について、上下両院議長が12日までの承認で一致した。地元報道によると、側近を後継にすると主張していたベルルスコーニ首相は、モンティ氏の首相就任を認める代わりに腹心の副首相への起用や、閣僚数人の続投を求める「条件闘争」に転じたという。
首相は辞意表明後の9日にテレビに電話出演し、「2月に総選挙だ」などと主張。こうした姿勢に「首相は結局、居座るのではないか」との不安が広がり、イタリア国債の金利は急上昇して「危険水準」とされる年7%を超えた。
大統領は「金融市場の誤解を解きたい」とし、「首相は間違いなく辞める。財政緊縮策は数日中に承認される。政治空白が引き延ばされるとの臆測に対し、速やかに必要な措置をとる」との声明を出さざるを得なくなった。
さらに、1994年から2004年まで欧州委員として競争政策や、市場・金融の統合を担当したモンティ氏を「次期首相含み」で終身上院議員に登用した。
イタリア国会は上院(定数325)と下院(定数630)の二院制。上院には元大統領や国家功労者として大統領から任命される終身議員の枠が10人ある。9日時点で終身議員枠は4人空いていた。